カテゴリー: 人間関係, 恋愛・結婚
第270回 いい人にならないで
誰かを好きになって、その人にも同じように自分に好意を持ってほしいと願う時、私たちは、どうしても「いい人」を演じてしまいます。その場合の「いい人」とは、相手の要求をすべて受け入れようと努力し、相手のどんな行為も許すことを指します。
そうやって、私たちは、相手が自分に良い印象を持つように一生懸命がんばります。それは、人を好きになった時の心の自然な動きなので、仕方がないことでしょう。しかし、問題は、その程度です。
私たちが懸命に「いい人」を演じ続けても、相手がなかなか自分に好意を示してくれなかったりすると、その程度はどんどん強まっていきます。そして、いつの間にか、「いい人」を演じる自分が現実の自分を支配し始めます。
たとえば、相手にメールを出して、「早く返事がほしい」と思っていても、相手がなかなか返事をくれない時、心の中は「どうして返事が来ないのだろう・・・」、「もしかしたら、自分のこと、きらいになったのかな」、「誰か好きな人ができたのかもしれない」と不安が渦巻いてしまいます。
それでも相手に嫌われたくないという気持ちから、心に芽生えた不安と怒りは必死で隠し、相手から返事が来ないことを責めることはせず、次のメールに「読んでくれるだけでいいから」、「返事はいいから」などと書き込んでしまうのです。すると相手は、あなたのそのいい人ぶりにすっかり安心して、あなたからのメールに返事が遅れても、しなくても、あなたは許してくれると信じ、ますますそのような形に落ち着いてしまいます。
それをあなたが耐えられるのなら、一生懸命「いい人」を演じることも価値があるでしょう。しかし、「すぐにでも返事がほしい」と切望している本心を抑えれば、抑えるほど、心は苦しくなり、その行き場のない苦しみは、相手への憤りとなって、重苦しく全身にのしかかります。そこまで苦痛を味わいながら「いい人」を演じ続けても、残念ながら、あなたの希望がかなう日は訪れません。
さらに、あまりにも「いい人」ぶりが板についてしまうと、相手は、あなたを異性として認識しづらくなります。それは、「いい人」とは、どんなことでも許してくれて、甘えさせてくれる、まるで保護者のような存在として相手の目に映ってしまうからです。
ですので、あなたが男性なら、相手は、あなたの徹底的ないい人ぶりに父親を感じ、女性なら母親と感じてしまいます。すると相手は、その子どもという位置づけとなります。父と子、あるいは、母と子という関係では、恋愛は成立しません。つまり、その関係になってしまうと、あなたがいくら相手に尽くしても、二人の間には恋愛は生まれないという切ない結果が待っています。
それが夫婦の場合でも、たとえば妻が一生懸命いい人を演じ続けてしまうと、夫は、いつの間にか妻を母親と感じてしまいます。すると夫は息子となります。その関係では、性的なものは入り込めません。夫は、家庭で母親化した妻に甘え、外で男性をとりもどし、安心して、妻以外の異性と恋愛を楽しむようになります。つまり、いい人すぎる妻は、夫の浮気に泣かされやすくなる、と言えます。その逆もあり得ます。
誰かを好きになったら、その人に好印象を持ってもらおうと「いい人」を演じることは仕方がないことでしょう。しかし、それをずっと続けてしまうと、もはやあなたは性的なものを一切感じさせない保護者的な存在として相手に認識される危険があります。そうなってしまうと、相手との恋愛は決して成就しません。
最初は、相手に嫌われないためにいい人を演じても、少しずつ自分の欲求を相手に伝えていくことが必要です。メールの返事がほしいのなら、「返事をいただけるとうれしいです」などの意思表示をすることです。それを相手が見て、あなたのことを判断します。その互いの判断で、その後の二人の距離が決まります。それが、ずっといい人のままだと、相手はあなたをどう判断すればよいか、に戸惑い、その距離も平行線のままとなりやすいのです。
恋愛相手は、明らかに、他の異性とは違います。恋愛対象とはならない異性には、自分の意思や欲求を示すことはそれほどないでしょう。しかし、大切な異性には、互いをもっと理解するために、自身の意思や欲求を見せてあげる必要が大です。その大切な人を他の異性とは切り離してとらえましょう。
そして、肝心なのは、いい人になりすぎないことです。いい人を演じ続けて、性的な魅力を手放さないことです。大切な人の前で、お父さんにならないでください。お母さんにならないでください。
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