コラム

カテゴリー: 人生, 生きる・目的・変化 

第70回 劣等感

2004-12-16

心が苦しい時は、劣等感にさいなまれていることが多いようです。どうして私はいつ もこうなんだろう、どうしていつもこうウジウジと悩んでしまうんだろうなどとつら く考えている時は、はっきりと意識していなくても、身近にいる友人や同僚と自分を 比較していることが多いとも言えるでしょう。それが、いわゆる劣等感と言うもので す。

多くの人々に囲まれて生きている私たちは、他人を意識しないで生きることは到底無 理です。恋愛にしても、仕事にしても、趣味にしても、私たちが営んでいる生命活動 のあらゆることには、他人との関係がなければ成り立ちません。

そこで皆と楽しく心をはずませて生きていくことができたら、ずっとそれが可能な ら、こんなにうれしく、楽なことはありません。しかし、ふとした瞬間に、他人との 比較による自分の力不足を実感したり、失恋したり、悲しいことがあったりした時、 私たちの気持ちは落ち込み、他人との比較による劣等感にさいなまれてしまいがちで す。

そんな劣等感を持ってしまった時、私たちはどうすればよいのでしょう。

持ってしまった劣等感を持たなかったことにしようと言うのは、土台無理です。劣等 感に気づかないふりをすることも不可能です。ならば、劣等感を持っているという現 実をそのまま受け入れてしまいましょう。それは苦しく、つらいことかもしれません が、今、その劣等感を持つことに意味があるのです。劣等感、万歳なんです、ほんと うは。

持ってしまった劣等感をそのまま認めたら、次は、その劣等感は、他の人たちから直 接自分に与えられたものではないということを認識しましょう。どんなにひどい劣等 感であったとしても、それは、あなた自身の気持ちなのです。劣等感を抱く原因となった誰かがいたとしても、その人から直接、いきなり、そのつらい思いをぶつけら れたのではないのです。その人との出会いや関係から、劣等感と言われる思いを自分 の心に芽生えさせたのは、誰でもない自分自身なんだと自覚しましょう。

さらに、その劣等感の中身をよく観察してみましょう。どんなことに劣等感を持ってしまったのでしょう。その内容をよく見てみましょう。実はそこに、あなた自身のほんとうの願望や、これからより自分らしく生きていくためのヒントが隠されているの です。

自分の将来をパッパと決めていく友人を見て、うらやましく思い、どうして自分は、 自分の将来に対して、こんなにも出口のない迷路をさまようような苦しい状態になっ てしまうのか、こんな優柔不断な自分はいやだと劣等感に悩んだら、それは、今、自 分の将来について時間をかけて真剣に自分自身が考えたがっているのだととらえてほ しいのです。次々と恋人ができるチャーミングな友人と比較して、自分は男性にもて ない、女として魅力がないと劣等感にさいなまれたら、これを機に自分はどんな恋愛 をしたいのか、自分が理想とする異性はどんな人なのかを考えることができます。あ るいは、今、ほんとうに恋愛をしたいのか、それを心から望んでいるのか、いないのかもチェックできます。

劣等感は、一見、否定的な言葉で、できれば、それを持ちたくないと誰もが思うでしょう。しかし、その感情を持つことに、大いなる意味があると感じてほしいので す。

劣等感は、多くの他人とともに生きて行く私たちだからこそ、持ちうる感情です。そ の刺激から、私たちは、これから目指すほんとうの自分と出会えるとも言えるのです。

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